ノハラアザミ
野原薊
双子葉、合弁花、
キク科、
アザミ属、花は筒状花のみ、多年草。
用語説明
花期:夏〜秋
8月〜10月
高さ:0.4〜1メートル。
茎は細長くて直立し、上部で枝分かれし、短毛がある。
根生葉は花時にも残り羽状に深裂し、縁に鋭い剣がある。
茎葉は互生し、羽状に中裂し、縁に鋭い剣があり、基部はなかば茎を抱く。
枝先に紅紫色の頭花を2〜3個上向きにつける。
総苞は幅1.5〜2センチの釣り鐘形で、クモ毛があり、粘らない
(ノアザミは粘液を出して粘る)。
総苞片はそりかえらない。
そう果が実り、種子に白い冠毛がついている。
アザミ属には、花に虫がとまると花粉を排出する巧妙な仕組みがある。
アザミ属の雄しべは筒状になっており、
その中に節のある雌しべがある。花が開くと雄しべの筒がのび、
その中で雌しべの節の上方でおしべが花粉をたくさん作る。
虫が花にとまると、虫の触れた筒状の雄しべが数秒で縮み、
雌しべの節の上部にある花粉を排出する。
この時、雌しべはまだ受粉できる段階に至っていず、自花受粉はしない。
花粉を出し終わった頃(雄しべが縮んだ頃)、雌しべがのびて、
他の花の花粉を受粉できるようになる。
(このような形態の雄しべはキク科植物に共通するもので、
「集約雄しべ」と呼ばれる。)
以上の過程は、
まだ花粉を出していない雄しべを爪楊枝などで触ることによっても確かめることができる。
虫の好む蜜腺は、筒状花の奥にあって、外からは見えない。
類似した植物
ノアザミ、
ノハラアザミ、
ヒメアザミ、
ハマアザミ
の区別。
識別点:
ノアザミ :花期5〜8月、総苞は球形で、総苞片は直立して粘液で粘り、葉は茎を抱く。
ノハラアザミ:花期8〜10月、総苞は鐘形で、総苞片は斜上して粘らず、葉は茎を抱く。
ヒメアザミ :花期8〜10月、総苞は筒形で、総苞片は直立して粘り、葉は茎を抱く。
ハマアザミ :花期6〜12月、総苞は筒形で、葉は厚くて光沢があり、葉は茎を抱かない。
根生葉が花期にも残る。(2017/10/3)
総苞は鐘形。(2017/10/3)
総苞片が上向きにのびる。葉は茎を半ば抱く。(2017/10/3)
頭花は紅紫色で、総苞片は斜め上にのびて少し反り返る。(2015/10/19)
蕾の頭花には、筒状花の蕾がぎっしり詰まっている。
(2018/10/25)
アザミ属の雄しべは濃紫色の筒状で、その中に雌しべが入っている。
(この花はヒメアザミで、雌しべの先が雄しべの筒からのぞいている。)
(2018/10/27)
虫が雄しべに触ると、雄しべが縮んで白い花粉が排出される。
(2018/10/25)
外周の筒状花は盛んに花粉を出している。
(2018/10/25)
雄しべの筒が縮むにつれ、雌しべの節の上にある花粉が外に出る。
(2018/10/25)
花粉を出し終わった頭花では、白い節のある雌しべがのびて、受粉できる状態となる。
(2018/10/2)
雌しべは白い節のところで色が濃くなっている。(2022/10/27)
そう果には淡褐色の冠毛がある。
(2018/10/25)
白い種子が風で飛ぶ準備ができている。(2022/11/2)
(2015/9/30)
枯れた果実。
茎葉は羽状に裂けて鋭い剣がある。
(2016/10/2)
茎葉は上部のものほど小さい(ので風が吹いても茎が倒れにくい)。
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