用語説明
植物分類
藻類(そうるい): 酸素発生型光合成を行う水中植物。
コケ植物: 維管束を持たない陸上植物。
維管束(いかんそく)植物: 水や養分、光合成物などを運ぶ維管束をもつ。
シダ植物: 種子を作らず胞子によってふえる。
種子(しゅし)植物: 有性生殖によって種子をつくる。
裸子(らし)植物: 種子のもとである胚珠がむき出しになっている。
狭義の針葉樹(しんようじゅ): 葉が針のように細長い。
それ以外の広義の針葉樹: イチョウ、ソテツ等。本写真集では裸子植物として区分。
被子(ひし)植物: 胚珠を包む心皮がある(心皮は果実となる)。
単子葉(たんしよう)植物: 種子が芽吹いたとき葉が1本だけ出る。
双子葉(そうしよう)植物: 種子が芽吹いたとき双葉が出る。
植物全体の形態
生育形態
分類の仕方は、どこに含めればよいか迷うものも多く、
人によっても違いがあったりする。
このウエブサイトでは、一応次ぎのように分類しているが、
あまり厳密ではなく、他の植物図鑑などと異なるところもある。
木本(もくほん): 地上部が多年にわたって生育し、茎は木質化する。
高木(こうぼく): 高さが10メートルを超える木。
中高木: 高さが6〜10メートルの木。
小高木: 高さが3〜6メートルの木。
低木(ていぼく): 高さが0.5〜3メートルの木。
小低木: 高さが50センチ以下の木。
草本(そうほん): 地上部は1年〜数年で枯れ、多年にわたっては肥大しない。
多年草(たねんそう): 何年間か枯死しない草。
常緑多年草: 地上部が何年も枯れない草。
宿根草(しゅっこんそう): 地上部が枯れても根が残ってまた芽生える草。
1年草: 1年以内に枯れる草。
夏型1年草: 春に芽が出て冬までに枯れる草。
冬型1年草(越年草): 秋に芽が出て夏までに枯れる草。
2年草: 2〜3年生きている草。
夏緑植物: 夏には葉があるが、冬は葉が枯れる植物。
春緑植物: 早春には葉があるが、夏には葉がなくなる植物。
つる性: あまり立ち上がらず、他のものに巻き付いたり
寄りかかったりする植物。
木本か草本か区別のしずらいものもある。
花の形態
花序(かじょ): (茎や枝における)花の配列形態
萼(がく) : 花びらの外側にあって花を支える。外花被ともいう。
花弁(かべん): 花びら。内花被片ともいう。
花被(かひ) : 萼と花弁が同じように見えるときなどに、
両者をひとまとめにして花被という。
花被を萼と花弁で区別するときは、萼を外花被、花弁を内花被という。
苞(ほう): 花や花序の基部にあって花を保護している葉。
(苞のない花も多数あり、苞と萼が区別しにくいものもある。)
苞葉(ほうよう): 苞のこと。
総苞(そうほう): 花序の基部を包んでいる苞の集まりのこと。
キク科などで発達している。
胚珠(はいしゅ) : 卵細胞を含み、種子のもととなる。
柱頭(ちゅうとう): 花粉を受け取る部分で、粘着性がある。
花柱(かちゅう) : 柱頭と子房をつなぐ細長い部分で、
そこを花粉管が通って胚珠までのびる。
子房(しぼう) : 花柱の下にあるふくれた部分で、
種子のもととなる胚珠を含む。
葯(やく) : 花の中で花粉を含む器官。
花糸(かし) : 花の中で葯を支える部分。
雌蕊(めしべ、しずい) : 花の中で種子をつくる雌性の器官で、
柱頭と花柱、子房からなる。
雄蕊(おしべ、ゆうずい): 花の中にある雄性の器官で、
葯と花糸からなる。
子房上位: 萼、花弁、雄しべが雌しべより下の花托についていて、
それらの上に子房がある。(ユリ科など)
子房下位: 萼筒が子房と融合し、萼や花弁、雄しべが子房の上から
出ているように見える花。(ウリ科、キク科、ヒガンバナ科など)
種子(しゅし): 胚珠が受精して成熟したもので、
発芽すると新しい植物体を形成する。
珠皮(しゅひ): 被子植物の胚珠を覆う皮で、裸子植物にはない。
種皮(しゅひ): 種子の外側にある皮。
---- 無限花序 ----
散房(さんぼう)花序: 短い花茎にそれより長い柄のある花が
短い間隔でたくさんつく(サクラなど)。上向きの場合は
下部の花枝ほど長くなり、花序の上部がほぼ平らになる。
総状(そうじょう)花序: 長い花茎に柄のある花がほぼ均等につく。
穂状(すいじょう)花序: 長い花茎に柄のない花がほぼ均等につく。
散形(さんけい)花序: 同じところから柄をもつ多くの花が出る。
複散形(ふくさんけい)花序: 散形花序を構成する花がまた
散形花序になっている。
---- 有限花序 ----
集散(しゅうさん)花序: 主軸の先と、その下方から数段にわたって
出る横枝の先に花がつく。
複集散(ふくしゅうさん)花序: 集散花序を構成する1つの花が
また集散花序になっている。
さそり型花序: 主軸の先の花の下から横枝が1つ出てその先に
花がつき、さらにその横枝先の花の下から同じ方向にまた横枝が
出ることを繰り返す。
---- 複合的花序 ----
円錐(えんすい)花序: 総状花序の花の部分がまた総状花序に
なっているもの(下の段ほど分枝回数が多くなり、全体が
円錐形になる)。
小穂(しょうすい): イネ科とカヤツリグサ科の植物では、
苞葉が変化した鱗片や穎(えい)と呼ばれるものが数枚あって、
それらにはさまれる形で花弁を失った花がいくつか含まれる
小穂と呼ばれる構成要素があり、花序が小穂の集まりとして
構成される。
---- その他の花序 ----
単生(たんせい) : (茎先や葉の脇などに)単独でつく。
尾状(びじょう)花序: 単生花が穂状につき、尾のように垂れ下がる花
(クヌギなど)。
球花(きゅうか): 多数の小花が丸く集まったもの
(マツやスギなどの花)。
鞠花(きゅうか): 球花。
頭状(とうじょう)花序: 花茎の先に花が密集したもの
(小花が多数集まったキクなどの花)。
頭花(とうか): 頭状花序を1つの花に見立て言う時の呼び方。
肉穂(にくすい)花序: 穂状花序の主軸が肉質の柱状になっている
もの(ミズバショウ、コンニャクなど)。
杯状(はいじょう)花序: 1つの雌花のまわりに雄花が数個集まって、
それが苞葉でできたカップの中にある花序(トウダイグサ科の花)。
花の形
蝶形花(ちょうけいか): 反り返って直立する旗弁と、
左右から合わさる2枚の翼弁、
ならびに竜骨弁(船弁)をもつ(マメ科などの花)。
唇形花(しんけいか): 筒状の花弁の先が上下に分かれ、
唇のような形となる花(シソ科の花など)。
漏斗状花(ろうとじょうか): 基部が筒形で先がまるく広がった花
(アサガオ等)。
鐘形(しょうけいか): 花弁が融合して釣鐘状となった花(キキョウ等)。
合弁花(ごうべんか): 花弁が合着して(基部が)筒状になっている花
(ツツジ等)。
離弁花(りべんか) : 花弁が合着せず、基部も互いに分離している花
(サクラ等)。
以前は双子葉植物を合弁花類、離弁花類に分けていたが、
最近はDNA分析等の知見からその分類仕方はあまり
採用されなくなった。
葉序(ようじょ) −− 葉のつきかた
互生(ごせい): 互い違いに生える。
対生(たいせい): 葉が向き合って対になって生える。
十字対生: 向き合った葉の対が段ごとに90度ずれる。
(上から見ると十文字に対生しているように見える。)
輪生(りんせい): 3枚以上の葉が放射状に出る。
偽輪生(ぎりんせい): 互生や対生の葉が短い間隔で多数出るので
輪生しているように見えるもの。
束生(そくせい): 何枚もの葉が束になって出る。
(輪生のように軸を囲むのではなく、偏った方向に出る)。
螺旋状(らせんじょう): 短い間隔で高さと角度を変えながら
多数の葉が出る。
根生(こんせい): 根元から何枚もの葉が出る。
葉の形態
楕円形(だえんけい): 数学的な楕円形とは少し違って、
先端がとがるものもある。
卵形(たまごがた): 卵のように先がすこし太い楕円形
(先端は少しとがってもよい) 。
倒卵形(とうらんけい): 卵を逆向きにしたように、
基部が少し太い楕円形。
へら形(へらがた): しゃもじのように、先は丸いが
基部は次第に細くなる。
披針形(ひしんけい): 細長くて先はとがり、基部はしだいに
幅広となる。
倒披針形(とうひしんけい): 細長くて、先が幅広で基部が
次第に細くなる。
線形(せんけい): 薄くて長い帯のような形で、先がとがる。
剣形(けんがた): あまり長くない帯のような形で直立し、
先がとがる。
針形(はりがた): 針のように細長くて先がとがる。
鱗状(りんじょう): 鱗が重なったような形。
心形(しんけい): ハート形。幅広で、基部が鋭角に湾入し、
先がとがる。
腎形(じんけい): 腎臓のように、基部がまるく湾入し、
先はとがらない。
矛形(ほこがた): 基部が左右に張り出し、先はとがる。
矢じり形: : 基部が斜め後ろに張り出し、先がとがる。
尾状(びじょう)にとがる: 細長くとがる。
鈍頭(どんとう): 先がとがらず、まるい。
楯状(たてじょう): 葉が幅広で、葉柄が縁にではなく葉身の中ほどに
直角につく。
葉状茎(ようじょうけい): 茎が扁平で緑色となり、光合成を行うもの。
全縁(ぜんえん): 鋸歯がなく、縁が滑らか。
鋸歯(きょし): 葉の縁がのこぎりの歯のようになり、
それが上向き(葉先向き)につく。
歯牙(しが): 葉のふちがのこぎりの歯のようになり、それが直角につく。
普通は歯牙も含めて鋸歯ということが多い。
単面葉(たんめんよう): 表裏の区別がなく、どちらに傾いてのびても
上の面が表のようになる。(シャガなど)。
葉柄(ようへい): 葉と枝や茎とのつなぎ部分が細い棒状になったもの。
葉身(ようしん): 葉の本体部分で、光合成などの葉本来の役目をする部分。
托葉(たくよう): 葉の付け根にある付属体で、小さい葉の形をとる
ことが多いが、棘や巻きひげとなるものや、欠落または脱落している
ものもある。
葉脈(ようみゃく): 茎から葉につながる維管束で、水分や養分などの
通り道である。
主脈(しゅみゃく): 葉身の基部から先へとまっすぐにのびる葉脈。
側脈(そくみゃく): 主脈から葉の脇の方へと枝分かれする葉脈。
双子葉植物ではさらに網目状に枝分かれしてゆくものが多いが、
単子葉植物では側脈も主脈と同じように基部から先へ伸びる平行脈となる。
気孔(きこう): 葉裏などにある穴で、水蒸気の放出や炭酸ガスの
取り入れなどを行い、開口部が伸縮できる。針葉樹では気孔の
並んでいる部分が白くなって気孔帯を構成することがある。
単葉(たんよう): 葉身が一つながりになっていて分かれていない葉。
複葉(ふくよう): 葉身がいくつかの部分に分かれて構成されている葉。
小葉(しょうよう): 複葉の葉身の各構成部分。
複葉の種類:
3出(さんしゅつ)複葉: 葉柄の先から3枚の小葉が出る。
掌状(しょうじょう)複葉: 葉柄の先から4枚以上の小葉が出る。
羽状(うじょう)複葉: 葉柄に続く葉軸(ようじく)の左右に
小葉がいくつか並ぶ複葉。
奇数羽状(きすうじょう)複葉: 葉軸の先に小葉が1枚あって、
小葉の数が奇数となるもの。
偶数羽状(ぐうすううじょう)複葉: 葉軸の先に小葉が2枚あって、
小葉の数が偶数となるもの。
2回羽状複葉: 羽状複葉の小葉がまた羽状複葉であるもの。
3回羽状複葉: 羽状複葉の小葉が2回羽状複葉であるもの。
2回3出複葉: 3出複葉の小葉がまた3出複葉であるもの。
果実の形態
果実: 種子植物の花部が発達して種子を含んでいるもの。
被子植物では子房が受粉して発達した部分であり、
人間をはじめ、動物の食用になったりする。
種子が裸に近い形のものは果実と呼ばれずに単に種と呼ばれる
こともある。子房のない裸子植物では、松笠のような球果となったり、
イチイのような肥大した仮種皮がついていたりする。
果実の分類:
乾果(かんか): 果皮(果実の皮)が乾いた形で熟す果実。
閉果(へいか): 種子が乾燥した果皮に包まれている果実。
そう果(痩果): 果皮と種皮が分かれていない果実(タンポポ等)。
穎果(えいか): 果皮と種皮がより密着したそう果(イネ科の果実)。
胞果(ほうか): 果皮と種皮が分かれている果実(ケイトウ等)。
堅果(けんか): 果皮が木質化して固くなった果実(クリ等)。
翼果(よくか): 果皮が翼のように広がった果実(カエデ等)。
分離果(ぶんりか): いくつかの部分果に分かれる果実
(サンショウ等)。
節果(せつか): マメの鞘が種子ごとに節になって折れる果実
(ヌスビトハギ等)。
裂開果(れっかいか): 果実が袋状になり、熟すと割れて種子が出る果実。
刮ハ(さくか): 熟すと先から基部へと放射状に裂ける果実(カタバミ等)。
蓋果(がいか): 熟すと上下に裂ける果実(刮ハの変種)(オオバコ等)。
豆果(とうか): 果実が鞘の形をとり、熟すと左右に割れて
種子が出る(エンドウ等)。
長角果(ちょうかくか): 細長い袋状の果実が膜で左右に
仕切られた果実(ダイコン等)。
短角果(たんかくか) : 長さが横幅より短い袋状の果実が
膜で左右に仕切られた果実(ナズナ等)。
袋果(たいか): 果実が袋やその集合の形をとり、熟すと
割れて種子が出る(コブシ等)。
液果(えきか): 熟しても汁気のある多肉質の果皮をもつ果実。
核果(かくか): 中央部に種子を含む固い核をもつ液果(ウメ等)。
真性液果(しんせいえきか): 固い核をもたない液果(カキ等)。
偽果(ぎか): 子房以外の部分からなる果実状のもの(バラ等)。
上記の乾果、液果等は子房を含むので真果と呼ばれる。
球果(きゅうか): 木質化した鱗片状の葉が丸く集まって
種子を包んでいる果実(マツ等)。
殻斗(かくと):堅果でドングリをつけているお椀状の台の部分。
種子の形態
種枕(しゅちん)、
エライオソーム: 種子につく付属体で、脂肪酸、アミノ酸、
蔗糖などを含み、
アリが好む。